勝田政吾 [平成21年(2009)12月31日発行会報第27号から]
今秋の観察会は多摩美の森を離れて、文京区の六義園を訪れることにしました。この庭園は、よく知られている通り元禄時代の老中柳沢吉保の創設になる回遊式日本庭園で、現在の公開面積約8.8ha を有する広大かつ優雅な名園です。その名の六義とは、中国最古の詩集「詩経」の6種の詩の分類に倣って古今集仮名序で定めた和歌の分類の文体をいい、これを造園のベースにしたというのですから、誠に風雅の極みというべきでしょう。島や橋から岸辺やちょっとした岩に至るまで雅な名前がついています。
当日11月28日は好天に恵まれ良い観察会となりました。ちょうど園の秋の催し「紅葉のライトアップ」の期間中だったので、いつもは入れない駒込駅直近の染井門から入園でき好都合でした。
入ったばかりの一本道は両側とも低高木が生い茂って薄暗い道でした。その奥の方の真っ赤な小さい実が房状にたくさんついている高い木はイイギリといい、昔はその葉でご飯を包んだので飯桐といったとのことでした。有名なシダレザクラの脇を通り池の方に行く右側に見事に紅葉したイロハモミジ数本があり思わず見とれました。
さらに池の縁に沿って進んで行くとスダジイ、クスノキ、コナラ、イヌシデ、ケヤキとお馴染みのものが目に入りますが、どれも堂々たる風格を具えた巨木です。また、タイザンボク、ネズミモチ、モッコクなどもこんなに大きくなるものかと感心させられました。ハゼの紅葉、イチョウの黄葉も見事でしたが、目通し1m を超えるかと思われるトウカエデの大きさには圧倒されました。
※六義園(公益財団法人 東京都公園協会)