会報02-4 森の生きものノート②

初夏 ホトトギスとミドリシジミ

[平成15年(2003)09月30日発行会報第02号から]
曽我 浩 ( え:曽我千文 )

img2516月の定例作業の日に、 自然に詳しい友人と2人で、 健康の森を少し散策してみました。

まずは、空高く「トッキョキ ョカキョクッ」と聞こえるホトトギスが今日のメインゲスト です。

「鳴いて血を吐くホトトギ ス」と言われる様に、この 時期は早朝や真夜中でも飛びながら鳴きつづけるホ トトギスの声に、深山幽谷に迷い込んだような気分に なってしまうのは私だけでしょうか。

ホトトギスは、自分で子育てをせずにウグイスの巣 に卵を産みつける習性があります。託卵と云いますが、夏に子育てにやってくるツバメなどよりも渡ってく る時期が遅いのは、そういう理由からなのかもしれま せん。

鳥のほかにも、とてもきれいな蝶を見つけました。

img252ゼフィルスの仲間でミズイロオナガシジミです。蝶は、 食草(樹)といって「この草にはこの蝶がやってくる」と いうのがあり、蝶を見つけるよりも草を見つけることで、 その蝶に出会えることがあります。

この蝶は、ミドリシジミ族で、食樹は、クヌギ、コナラ などですので雑木林の蝶といえるでしょう。

秋になると、野鳥は渡りの時期になります。夏に子育てをした鳥は南に帰り、シベリアなどからは、冬を 越しにカモや小鳥が渡ってきます。

9月、10月は、多摩美の森でも思いがけない鳥に 出会うチャンスがあります。エノキの実など、実のなる木のところには、キビタキやエゾビタキなどのヒタキの仲間が渡りの途中の休み場所として訪れるかもしれません。

秋の空を見上げながら、鳥でも雲でも、自分なりに 楽しんではいかがでしょうか?