会報35-4 里山の自然観察と管理の見学 ―県立座間谷戸山公園を訪ねて

中村 浩 [平成24年(2012)05月31日発行会報第35号から]

 3月18日(日)、小田急線座間駅より徒歩10分ほどの神奈川県立座間谷戸山公園を訪 ねた。公園職員の斉藤氏(麻生区在住)がわれわれ一行7名を約2時間案内してくれた。

開園は 1993 年で、現在 10 のボランティア 団体が活動している。約30ha の園内は、田ん ぼ、湿地、小川、池、水源を囲む竹林、コナ ラ・クヌギのエリア、スギ・ヒノキのエリア、 シラガシのエリア、サンクチュアリエリアよ り成っている。小川では初夏にはゲンジボタ ルが観察できる。また、池ではカワセミ、ア オサギ、シラサギ、各種のカモが見られるな ど、年間で約70種の野鳥が観察でき、オオタ カも営巣しているとのことである。

池のそばには蛙の繁殖用にビオトープが 2箇所つくられているが、残念ながらここで は蛙が産卵したことはなく、他の場所に毎年産卵されているとのこと。自然は、人の想い には必ずしも同調しないようであり、一度壊 した自然を元に戻す難しさを実感した。

皆伐1年目の萌芽更新の様子

皆伐1年目の萌芽更新の様子

丘の頂上付近では、大木化した雑木林が3,000㎡ほど皆伐されおり、1年目の再生、 萌芽更新の様子を見学できた。一部の老木に ついては高所萌芽更新の試験が行われていた。 高所萌芽更新とは、樹高の約半分位で伐採し て萌芽更新させ、萌芽した所でさらに半分 伐採し萌芽させ、その後さらに通常の高さで伐採し萌芽更新させるという方法で、3度手間ではあるが、老木での萌芽更新の成功率が 高いとのことである。

クヌギ・コナラの林の中には立派な炭焼き釜があったが、近隣の住民から煙にクレーム があって使用禁止となり、1度しか使っていないとのことであった。

伐採した樹木はカントリーヘッジなどに 利用しすべて園内で循環させている。園内の 随所にロープの囲いの中に、樹木・野草の名 前と写真と「養生中」の札を掲げて稀少植物 が保護されていた。 今後のわれわれの活動にとって参考にな った1日であり、季節を変えて再訪したい。