会報20-1 今年度を振り返って

会長 勝田政吾 [平成20年(2008)03月31日発行会報第20号から]

平成 19 年度を振り返って、活動に寄与した一番の出来事は、前年度末に完成した管理棟(多摩美の森の家)の本格的稼動だと思います。設置経緯や利用法等については会報16,17,18 号で説明されていますが、設置準備委員会が大層骨を折られて、設備内容・管理規定・運用方針等について研究と論議を重ね、第5回総会で関連する会則の改訂も行われ、現在は管理運営委員会によって順調に運営されています。珍しいバイオトイレも昨夏の酷暑に耐え、作業日限定の使用ですが、健康の森らしい設備だと思っております。

管理棟は、会議や打合せ、屋内作業、展示、記録類の保管、さらには屋外作業時でも集合場所があるという安心感も含め、「活動拠点」の言葉がぴったりの施設となっています。

次に、藤棚は平成 14 年に早野聖地公園ボランティアグループの多大なご協力で建てられたもので、作業日の打合せや休息場所、散策する方々の憩いの場として、ここの森の象徴的な場所となっています。その柱の根元が虫害で腐朽が進み、北部公園事務所に相談したところ、防腐処理をした立派な柱に付け替えていただき、大変有難いことでした。当分は小拠点として問題なく使用でき、今年か来年には藤も花を咲かせてくれることでしょうから、また一つ魅力が増えることになります。

ヤマユリの植栽は植付け3年目となり、前年からの開花に続いて、さらに数多くの花が見事に咲きました。今後はどうやって毎年咲かせ続けるかに力が注がれると思います。2年前の植樹祭で通路沿いに植えた萩が昨秋は見事に咲いて可憐な風情を楽しませてくれました。畑の縁に植えた和紙原料木ミツマタも3月に黄色い花を咲かせ麦の緑とよくマッチしています。一昨年から収穫をみた栗もますます大きな実をつけるようになっています。

植樹・収穫祭は、会報 19 号の報告のように、「市民健康の森」を会場に、現場で里芋を茹でたりバウムクーヘンを焼いたりと、里山の幸を皆がいっしょに作り楽しむ方式を取り入れました。担当の方々は大変でしたが、新機軸で成功だったと思います。天候はもう一つでしたが、見学者も多く訪れて、大盛会でした。

小学校の総合的学習への協力は例年通りでしたが、別掲の記事のように、ここの森で自然や環境を学んだ子どもたちの感想文には、私たちも励まされるものがあります。ゆとり教育の見直しもあって環境はよくありませんが、今一歩踏み込めないものかと思っております。

私自身は別掲の開発問題でかなりの時間と精力を費やしました。本来の活動とは違うという向きもありますが、ここ麻生多摩美の森自体、そうした運動により確保されたものであり、直近にあのような無茶な計画が実行されたら会の活動にもかなりの影響が出たと思います。不満足ながら3分の1の緑地が確保できたことは本当によかったと思っています。